ダイエットを邪魔する甘い誘惑

散歩・ウォーキング

甘い罪に微笑む白昼

柔らかな陽光が街角を照らし出す中、僕はまたひとり、腹に潜む脂肪という小さな敵と戦う覚悟で、一歩を踏み出した。早期退職で得た自由な日々、ダイエットのために始めたウォーキングは、単なるダイエット作戦ではなく、季節の移ろいや街角の小さな発見に心を躍らせる趣味でもあった。冷たい風が頬をなでながらも、リラックスした時間の流れに身を委ねながら、街のざわめきを感じていた。

上り坂に差し掛かると、胸の鼓動は速まり、体中に疲労が走る。しかし、その苦しみの中に、どこか妙な達成感も感じる。まるで、内側から小さな決意が湧き上がってくるかのようだ。

1時間ほどのウォーキングを終え、昼食を求めてスーパーの扉をくぐると、節制を重んじた品々が、確かな秩序のもとにかごへと収められていった。惣菜コーナーでは、家に控えてあるうどんに合わせた健康に配慮した一品を求め、目に映る誘惑の数々――揚げ物に心を奪われかけるが、己のダイエット信念に従い、オカラの和え物を手に取る。

しかし、運命は思いも寄らぬ方向へ舵を切る。惣菜コーナーを通り過ぎようとしたその時、ふと目に飛び込んできたのは、輝くようなスイーツコーナーの一角だった。新作の菓子が、まるで夢の中の一片の甘い世界を映し出すかのように並んでいた。

まるで、夜露に濡れた月のような輝きを放つ数々のスイーツに、ついつい視線が奪われる。その魅力は、ただの視覚的快楽を超えて心に深く染み入る。「見るだけ、見るだけ」と自分に言い聞かせた。

しかし、その魅惑の新作スイーツ――未だ見ぬ未知の美味、はるかに抵抗を超えた。瞬く間に心はその甘い囁きに捕らわれ、目と心の間で、しっかりとした葛藤が生まれた。まるで、己の理性と感情が、言葉巧みに論争を始めたかのようなあの瞬間――ついにはその魅力に抗えず、心の声に従ってしまう。
「こんなはずじゃなかった……」と、内心でつぶやきながらも、ためらいも束の間、手は自然とその未知なる美味しさを秘めたスイーツをかごへと忍ばせた。瞬間、僕の内面は一瞬、歓喜と自己嫌悪の二律背反に揺れ動いた。

僕は「今日くらい」と自らに呟いた。意味が曖昧であることは承知の上だ。特別な日ではない、ただの平日だというのに、なぜかその瞬間だけは、全ての苦労を甘い贖罪で洗い流すかのように。

家へと急ぐ足取りは、内心でささやかな躊躇いと、同時に甘い罪の悦びが交じり合う奇妙なリズムを刻んでいた。今日の僕は、己の堅い意志に一度だけ、甘い裏切りを許したのだ。

自分の弱さを痛感しながらも、どうしてもこの一瞬の甘美な逃避を、心の中で何とか正当化せざるを得なかったのだ。
ダイエットは明日から。



はい、ここまで読んでいただいた方がいたら、ありがとうございます。

絶賛ダイエット中の私ですが、何を隠そうスイーツ男子ならぬ「スイーツ紳士」を自称しています。日頃からウォーキングや筋トレにと頑張っているにもかかわらず、先日も見事に甘い誘惑に負けてしまいました。売り場で葛藤をしつつも、「まー、一日くらい」とかごに入れまったのです。そうです、上の話は実話です。

我慢しすぎるのも良くないですし、ここ最近はビールも控えているので、まー、いいじゃないんでしょうか。ダイエット仲間の皆さん、のんびり行きましょう!


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